“灰鉄鉄ヤーンス石” “Jahnsite-(CaFeFe)”
CaFeFe2Fe3+2(PO4)4(OH)2·8H2O;単斜晶系
模式地:
模式標本:
鉱物名:
原記載:
兵庫県神戸市西区平野町堅田 (Hirano-cho Katada, Nishi-ku, Kobe City, Hyogo Prefecture).FOV ~2.2 mm.
“灰鉄鉄ヤーンス石” は神戸市西区の丘陵地帯の造成工事によって現れた大阪層群の藍鉄鉱ノジュール中からごく少量見出され,松原ほか (1995) によってCa,Fe,Feがそれぞれ卓越するヤーンス石グループの鉱物であることが報告されたものの,正式な鉱物種としてIMAには承認されていない.産地名は松原ほか (1995) には “押部谷町” と記載されているが,試料採集者である丸本龍二博士によると兵庫県立高塚高校横の “平野町堅田” の工事現場の転石であったとのこと.本鉱物発見の経緯は,丸本 (1996) に詳しく書かれている.
写真の “灰鉄鉄ヤーンス石” は,ノジュールの内側に自形をなす藍鉄鉱の表面を被う黄褐色のミトリダト石のさらに表面に,濃赤褐色の板状結晶の集合体をなす.恐らく本鉱物の標本は,丸本博士が採取された1個の藍鉄鉱ノジュールに由来するものが現存するのみと思われる.
グループ名は米国スタンフォード大学の鉱物学者・R.H. ヤーンス (Richard Henry Jahns,1915-1983) にちなむ.ヤーンス石はジャーンス石と呼ばれることもある.
文献
- 松原 聰・加藤 昭・岸 成具 (1995) 神戸市押部谷町産藍鉄鉱ノジュール中の燐酸塩鉱物.日本鉱物学会講演要旨集,40.
- 丸本龍二 (1996) 藍鉄鉱団塊中の華麗な鉱物の世界 ―直径4cmの藍鉄鉱団塊の空隙に展開している燐酸塩ペグマタイトさながらの華麗な鉱物群―.ペグマタイト,19,6-9.
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