擬孔雀石 Pseudomalachite.

擬孔雀石 Pseudomalachite 

Cu5(PO4)2(OH)4;単斜晶系 

別名:燐孔雀石 

模式地:ドイツ,ラインラント=プファルツ州,ノイヴィート郡,ウンケル,Rheinbreitbach,Virneberg鉱山 

模式標本:ドイツ・フライベルク工科大学 

鉱物名:孔雀石と類似しているが,孔雀石ではないことから,“偽” を意味するギリシャ語 (ψευδής) にちなむ. 

原記載:J.F.L. ハウスマン 

  • Hausmann, J.F.L. (1813) Pseudomalachit. Handbuch der Mineralogie, 3, 1035 (IMA第一文献). 


 “擬” 孔雀石という名前ではあるが,本家の孔雀石とはあまり似ていない.自形をなすことは希で,普通は写真のような青緑色の葡萄状集合体をなして産出する.むしろ孔雀石よりも,リンをヒ素で置換したコーンウォール石と酷似しているが,擬孔雀石の方が青色味が強く感じられる.


兵庫県川辺郡猪名川町 槻並鉱山 (Tsukunami mine, Inagawa, Hyogo Prefecture).FOV ~4.2 mm.


奈良県御所市 三盛鉱山 (Sansei mine, Gose, Nara Prefecture).FOV ~4.5 mm. 


文献 

  1. 大堀晋司,小林暉子 (1996) 奈良県三盛鉱山・竜神鉱山の二次鉱物について.地学研究,44,223-232.
  2. Krivovichev, S.V., Zolotarev, A.A. & Popova, V.I. (2016) Hydrogen bonding and structural complexity in the Cu5(PO4)2(OH)4 polymorphs (pseudomalachite, ludjibaite, reichenbachite): combined experimental and theoretical study. Structural Chemistry, 27, 1715-1723. https://doi.org/10.1007/s11224-016-0820-z (IMA第二文献)


Rare minerals Research, Kyoto

大西政之 (おおにしまさゆき) 大阪府生まれ,京都市在住,金属メーカー勤務. 鉱物を集めたり,調べたりしています. 興味のある分野は鉱物科学 (とくに記載鉱物学) で,希産鉱物の物理的化学的性質・生成条件などの解明を目指しています. 古典的な鉱物標本にも関心があります.