Stromeyerite 輝銀銅鉱

Stromeyerite 輝銀銅鉱 Smy 

CuAgS;直方晶系 

 IMAステータス:"Grandfathered" (IMAが設立された1958年より前に発見された有効な種) 

鉱物名:ドイツ・ゲッチンゲン大学教授であった化学者のフリードリヒ・シュトロマイヤー (Friedrich Stromeyer;1776-1835) にちなむ. 

模式地:ロシア,アルタイ地方,Zmeinogorsky,Zmeinogorsk鉱山 (原記載によると,Schlangenberg鉱山) 

模式標本: 

原記載:フランソワ・シュルピス・ビューダン 

  • Beudant, F.S. (1832) Stromeÿerine, sulfure d’argent et cuivre. In Traité Élémentaire de Minéralogie, 2nd Edition, Paris, 410-411 (IMA第一文献). 

兵庫県川辺郡猪名川町 多田鉱山 (Tada mine, Inagawa, Hyogo Prefecture).FOV ~7.6 mm.

 斑銅鉱に富む石英脈中に,やや青味を帯びた鋼灰色の塊状をなし,本鉱物の特徴である貝殻状断口がみられる.

 多田鉱山が日本鉱業によって操業されていた頃 (1970年前後) に訪山された鉱物コレクターから,当時,多数の斑銅鉱を主とする鉱石を探しても,肉眼的な輝銀銅鉱は滅多に見つからなかったと伺ったことがある.


文献

  1.  李 旼成,今井秀喜 (1972) 兵庫県多田鉱山におけるCu-Ag-S系鉱物および自然銀の存在状態とそれらの共生関係 (第22回年会学術講演要旨).鉱山地質,22,79.


Rare minerals Research, Kyoto

大西政之 (おおにしまさゆき) 大阪府生まれ,京都市在住,金属メーカー勤務. 鉱物を集めたり,調べたりしています. 興味のある分野は鉱物科学 (とくに記載鉱物学) で,希産鉱物の物理的化学的性質・生成条件などの解明を目指しています. 古典的な鉱物標本にも関心があります.