カレドニア石 Caledonite Cdo
Cu2Pb5(SO4)3(CO3)(OH)6;直方晶系
MAステータス:"Grandfathered" (IMAが設立された1958年より前に発見された有効な種)
別名:カレドニア鉱
鉱物名:
模式地:
模式標本:
原記載:
- Traité Élémentaire de Minéralogie, 2nd
ed. Verdière, Paris (1832), 36
カレドニア石―なんと美しい鉱物であろうか.19世紀に英国スコットランドのレッドヒルから記載された銅・鉛の塩基性炭酸塩硫酸塩鉱物で,鉱物名はスコットランドの古名にちなむ.銅・鉛鉱床の酸化帯から産する比較的希な鉱物であり,日本から報告されたのは1937年のことで,宮崎県土呂久鉱山から北海道帝国大学の吉村豊文氏による (吉村,1932ab).1962年には土呂久鉱山近傍に位置する宮崎県黒葛原 (つづら) 鉱山から宮久三千年・小川留太郎両氏によって見いだされているが,記載は1996年になってからである (小川ほか,1996).
兵庫県川辺郡猪名川町 多田鉱山 (Tada mine, Inagawa, Hyogo Prefecture).FOV ~1.5 mm.
多田鉱山からは国内第3の産地として,記載論文が黒葛原鉱山とともに地学研究44巻3・4号 (櫻井欽一先生追悼特集号) に掲載された.本号には巻頭原色図版が6ページも掲載されており,この中に多田鉱山と黒葛原鉱山のカレドニア石のカラー写真があり,当時高校生だった私はその美しさにすっかり魅せられてしまった.しかし,簡単には手に入らず,それからこの標本を入手するまでに5年以上もかかった.
その後も秋田県亀山盛鉱山 (北峯・毛利,1996),岡山県新美川鉱山 (山本,2006),同県大笹鉱山 (毛利,2006) と報告が続いているが,希産鉱物であることには変わりない.
岡山県小田郡矢掛町 新美川鉱山 (Shinmikawa mine, Yakage, Okayama Prefecture).FOV ~1.3 mm
文献
- 吉村豊文 (1937a) 宮崎縣土呂久礦山産カレドニア石及びレッドヒル石に就て (I) (附,白鉛礦及びミメツト石).岩石礦物礦床學,17,55-60.https://doi.org/10.2465/ganko1929.17.55
- 吉村豊文 (1937b) 宮崎縣土呂久礦山産カレドニア石及びレッドヒル石に就て (II) (附,白鉛礦及びミメツト石).岩石礦物礦床學,17,124-136.https://doi.org/10.2465/ganko1929.17.124
- 山羽孝司・山田滋夫 (1996) 兵庫県多田鉱山産カレドニア石.地学研究,44,179-182.
- 小川留太郎・岩野庄市朗・高田雅介 (1996) 宮崎県黒葛原鉱山産カレドニア石.地学研究,44,241-245.
- 北峯瑞也・毛利孝明 (1996) 秋田県亀山盛鉱山産カレドニア石.地学研究,45,195-198.
- 山本佳弘 (2006) 岡山県新美川鉱山産カレドニア石.地学研究,54,235-237
- 毛利孝明 (2006) 岡山県大笹鉱山の二次鉱物.地学研究,55,149-154.
- Canadian Mineralogist 47 (2009), 649 (IMA第二文献)
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